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東日本大震災を挟んでの計画だったため、大幅な着工時期の変更を余儀なくされてしまいました。建て主さんだけでなく、作り手の私たちにとっても、住まいのあり方や生き方など色々な事を考えさせられた期間となりました。
建物の中心となるのは、建て主さんのかねてからの夢であった「薪ストーブ」です。この薪ストーブを設置するにあたって、最大の障壁となるのが「内装制限」と言う法律です。住宅であっても、火気使用室においてはこの法律が適用されるため、木をたくさん内装に使った建物には設置できないのです。
ですから、薪ストーブが設置されているログハウスなどその多くは適法とは言えなかったのですが、平成21年に国土交通省告示225号としてその緩和規定が設けられました。今回の建物はこの告示225号の緩和を利用して、薪ストーブを設置しています。（こちらがその告示ですが、これを読んで理解できる人はまずいないのではないかと思えるほど難解です。）
設計の梅村は資料を持って行政や検査機関に質問に行き、その都度図面を訂正しては再度確認に出向くという作業を繰り返し、ようやく配置計画を固める事ができました。
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間取りの特徴は、薪ストーブの熱がまんべんなく全体に巡るような空間上の工夫や、薪の搬入や灰の処理がしやすいような配置にしてあります。もう一つの特徴として、玄関からの通り土間を設け、直接キッチンへ行ける動線を作ってあります。この通り土間は食材の搬入やゴミ出しの動線であると共に、パントリーの役目も持たせてあります。
又、一見するだけではこれと言って特徴的な外観ではないかもしれませんが、屋根形状にひと工夫してあります。東側の玄関上部は下屋として、煙突掃除のために屋根に上る際のワンクッションとなっています。西側は軒桁を低くして、西北隣地の建物への日当たりに配慮してあります。長く住む家ですので、ご近所に対する思いやりも大切な事と思います。 |
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玄関（手前）と奥に続く通り土間です。天井は屋根なりの斜め天井にして、広く感じさせるようにしています。土間はコストを重視して、モルタル塗り仕上げにしました。土間東面には地窓を設けて居間に風が抜けるようにしてありますが、地窓は低い位置の開口なので窓を開け放しても外部から視線が入る心配はありません。
右が通り土間奥側から玄関を見た所ですが、扉で仕切っていないのでのれんを掛けて目隠しにしてもらいます。土間の内部には棚やハンガーなど、収納に役立つ小物がしつらえてあり、玄関には造り付けの下足入れ（左側）と姿見の鏡（右側）が付きます。 |
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| 居間全景です。床はパインフローリングで、壁はモイス張りです。モイスの内装はコストパフォーマンスも高く、調湿性と臭いの吸着にも優れています。左手は玄関への出入り口で、玄関の地窓から風が入ってきます。 |
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ストーブの反対側には階段が架かり、階段の下にはテレビボード兼PCスペースとなるローカウンターがあります。
PCスペースは床を掘りこんで、腰掛られるようになっています。階段下の縦長の窓は、寝室にストーブの暖かい空気を誘導するための仕掛けです。 |
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| ストーブスペースは床下に10cm角の補強根太を通し、床面をタイル貼りで仕上げてあります。平面の遮熱壁はレンガ積みです。ストーブ上部は吹き抜けになっていて、暖かい空気が家全体に回るようにシーリングファンで撹拌します。シーリングファンには昇降装置を取り付けてありますので、掃除の時には2階レベルまで降ろす事ができます。 |
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| 居間に面した収納です。収納家具は造り付けにしてあるので、動線から出っ張る事なく納められています。 |
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| キッチン側に面してダイニングテーブルを置きます。照明器具は以前使っていたものを再利用しています。 |
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キッチンは通り土間とつながっていて搬入搬出の動線になると共に、風の通り道にもなります。
キッチン本体も背面のカップボードもオリジナルの手作りの物です。他の部分とも素材を合わせる事ができるので、統一感のある仕上がりになっています。 |
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キッチンの下部はプッシュオープン式のレールを組み込んだ引き出しになっていて、軽く押すだけで手前に飛び出してくる仕掛けになっています。ツマミを付けなくてよいのですっきりしたデザインにできると共に、両手が濡れていたりふさがっていたりしても足や膝で開く事ができます。流しの下には分別のゴミ箱を数個置く事もできます。
カップボードの上部は電子レンジなどを置くカウンターになっていて、電子レンジなどを置いた状態でも干渉しない位置に窓を設けてあります。コンセント類も充実していて、もちろんカップボード側の引き出しもプッシュオープンです。 |
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| 水栓は吐水口側で操作できるグースネックタイップです。濡れた手で操作しても、ワークトップに滴が落ちないので、キッチンを綺麗に保つ事ができます。 |
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| 流しの上部には昇降式の水切り乾燥棚がついています。電動なのでワンタッチで上げ下げ出来、大変便利な設備です。通常は右の写真の位置に上げておくので、邪魔にもなりません。 |
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洗面所は脱衣室に入れずに、動線上に配置しました。ダイニング側から直接見えると落ち着かないので、壁の反対側にして目線をカットしてあります。
洗面所の右奥がトイレで、左奥が脱衣室になります。（右写真） 扉の上部はガラスにして、天井を連続して見せる事により広さを感じさせるような工夫をしてあります。 |
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| 脱衣室から浴室を見たところです。ミドリ色が映えます。 |
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| 寝室です。右が居間への出入り口で、左がクローゼットへの開口となります。クローゼット内は、布団棚やハンガーパイプを縦横に取り付けてあります。壁は桐パネルで、布団棚は桐のスノコです。 |
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| 階段は毎日使うものなので、できるだけ昇降しやすいよう緩やかに作ります。最上部を踊り場にしてあるのもそのためです。階段を上がりきると2階のホールですが、奥の開口が屋根裏部屋への出入り口となります。 |
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2階は屋根なりの斜め天井で、屋根組みの構造もそのまま見えかかりにしてあります。
垂木に木板を渡して蛍光灯を取り付け、シンプルでお値打ちの照明を作りました。 |
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| 現在、子供部屋は一空間になっていますが、将来は間仕切りをして二部屋にする事もできます。吊扉を閉めると落ち着いた部屋になります。
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| 屋根裏部屋の内部です。申請上は2階建ての部屋にしてあるので、通常のロフトのように天井高1.4メートルの制限はありません。柱や梁を利用してDIYで棚を作ってもらえれば、かなりの収納力があります。 |
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