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老夫婦のための「小さな家」を作らせていただきました。立地は瑞穂区の主要な大通りから少し入った場所で、スーパーや病院、地下鉄の駅なども徒歩圏内の、たいへん利便性の良い場所です。ただし、その分敷地面積が狭く、シビアなレイアウトになりました。
お施主様は20年くらい前に学習塾を作らせていただいたこともあり、今回はリピートでのご依頼をいただきました。現地は昭和30年代に建てられた平家を基に何度も増築が重ねられており、現況の確認に伺った時点では異種の屋根が組み合わされた総2階の建物になってました。
雨漏りやシロアリの食害も数か所に見られ、リフォームでは対応できないため建て替え新築でのご提案となりましたが、諸要件を満たしましたので住宅ストック循環支援事業の補助金を受けることができました。 |
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間取りの基本は「高齢者が暮らしやすい家」をコンセプトに、温熱環境（BELS☆☆）を整えてヒートショックによる身体への負担を軽減し、水回りなどの動線もアクセスしやすいことや介護しやすいようにゆとりのある寸法を確保しました。
2階に娘さんが暮らすことも考慮し、生活のリズムの違いがなるべく負担にならないよう動線や生活音にも配慮し、小さいながらも二世帯住宅としても暮らせるような家を考えました。 |
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| 解体工事の様子です。隣地の建物と一部つながってしまっていたので、解体作業も神経をつかって進めます。 |
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| 解体後の地盤調査では軟弱地盤が確認されたため、柱状地盤改良工事を行うことになりました。 |
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建物同士がくっついていた部分は隣地との境界線も曖昧だったため、この機会に敷地を測量し、立ち合いのもと境界の確定を行いました。
建て主さんも隣地にお住まいの方もご高齢のため、建物を引き継ぐ次の世代に対してのお心遣いです。 |
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完成した建物の全景です。道路に面する東面の1階には大きな窓は設けず、2階部分にバルコニーの付いた大型の掃き出し窓を設けました。このバルコニーの位置には旧家屋の時にも物干し台と窓がついており、その時の空気の流れや光の入り方を踏襲しつつ、軒先から手摺りにかけてシェードを張ことで夏場の強い日差しに対応しました。
外壁はハルカベ工法という軽量のタイル壁です。1階部分中央の小窓は、キッチンのシンク前の明り採り窓です。2階部分右手の縦長の窓は階段に光を導いています。縦長なので、階段の奥の方までまんべんなく光がまわります。 |
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駐車スペースに面した1階南側の南側の窓は一体に見えますが、2種類のサッシを組み合わせて1つのシャッターでカバーしてあります。左側が掃き出しの引き違い窓で、右側は勝手口ドアになっています。
室内側の床の高さと駐車スペースの土間高さの段差を軽減するために、縁側は中間高さに設定してあります。 |
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高齢の方にも昇降が楽なように、玄関ポーチはステップ1段の高さを13cm程度にして手摺りを設けました。ポーチの突き当りには郵便ポストと表札、インターホンが取り付く木格子があります。
ポーチの奥の外壁には給湯器が付いており、格子は目隠しになっています。給湯器は側方に排気するフードを取り付け、安全を見込んだ距離に木格子が建っています。 |
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玄関に入ると階段と一体に作り付けたベンチがありますので、靴を履いたり上がる時の段差解消に役立ちます。
左側奥に少しだけ見えているのは、階段下納戸の扉です。階段を玄関にレイアウトしたのは、老世帯が就寝後であっても帰宅や外出時の音的負担を軽減させるためです。 |
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| 階段の反対側には大容量の玄関収納を造り付け、扉には姿見の鏡を貼り付けてあります。収納の内部には、臭いや湿気の調整効果が高いモイスを張ってあります。すべての棚板は可動式になっていますので、お好みの高さに合わせて使えます。 |
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| 居間の東側はダイニングキッチンになっています。キッチンは、ステンレスのワークトップとパイン材を組み合わせて作ったオリジナルキッチンです。シンク前の小窓からは手元に明かりが入ってきます。シンク上部にはステンレス製の水切りラックを付けました。 |
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| キッチンの下部は陶器製のツマミを付けた引き出し収納になっており、引き出し手前側はナベのフタやまな板などが立てかけられるようにパイプで仕切ってあります。コンロ横のニッチなスペースは横から使う薄型の引き出しになっており、上部は調味料棚として、下部はお玉などを引掛けるマルチネットになっています。 |
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| 居間の西側にはテレビ台とデスクを造り付けました。デスク上部は手元照明を組み込んだ書棚になっています。西面の壁は意匠性と調湿機能を兼ね備えたエコカラットを張ってアクセントをつけ、天井の3つのダウンライトにより照らしています。テレビを見る時は背面の壁にも光を回すことで、目の疲労などの負担軽減にもなります。エコカラットにはタイルのような冷たさはなく、土感があります。 |
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テレビ台左手の扉は寝室の出入り口です。天井までの高さのある大型の引き戸にすることで、開放時は居間と寝室が一空間になります。小さな家を広く使うコツです。
寝室では、以前の塾で使っていた収納を再利用しています。20年も前に作たものを大事に使っていただけることは作り手冥利に尽きます。今回、裏板にモイスを張ってさらにグレードアップしました。奥に見えるのはトイレの入り口です。寝室からアクセスの良いように、直線上に水回りを配置してあります。 |
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| トイレは旧家屋のものがまだ交換してから間もないものだったので、再利用して移設しました。トイレの出入り口は側方に設け、室内寸法もゆとりのある寸法になっています。トイレの手前は洗面所になっていて、トイレや浴室への動線にもなっています。
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| 浴室はユニットバスです。シャワーのバーは手摺りとしても使える強度のあるものです。 |
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トイレ、洗面所、脱衣場は出入り口の扉上部をガラスで仕切ってあります。視線を通して天井を連続させることで、狭い部屋を一つの大きな空間と認識して広がりを感じられるようになります。これも小さな家を広く使うコツです。
ガラスには飛散防止のフィルムが貼ってあり、万が一ガラスが割れた時の安全に配慮してあります。 |
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| 玄関から2階に上がる階段です。階段は勾配をできるだけゆるく計画し、3ヶ所の踊り場を設けました。高齢の方が、万が一転落した時にダメージをできるだけ軽減するための配慮です。また、階段周辺の余りスペースを利用して、書棚を作り付けてあります。 |
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| 2階の居間の東側には大型の掃き出し窓と、畳4.5帖分のバルコニーがあります。室内と室外の印象を一体化させるために、掃き出し窓は床から天井までいっぱいのものを付けてあります。バルコニーには照明とコンセントも設けました。シェードでやんわりと包まれたこの空間はなかなか居心地が良いと思います。 |
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居間の北面にはミニキッチンがあります。お茶や軽食程度でしたら、ここでも大丈夫です。上部の小間分けした棚もかつての塾の時に作らせてもらったものです。
右奥の扉は階段への出入り口で、左手の開口は寝室への扉です。ここの扉も天井いっぱいの高さにして、部屋同士の一体感を作り出しています。 |
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| 2階の寝室です。あそび心で一面だけ森のイメージの壁紙を貼りました。2階の寝室には以前の塾で使っていた収納と、布団収納のために新規で作った収納が並びます。 |
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玄関、水回りなどの主要な動線には夜間に自動点灯する足元灯を設け、わざわざ照明をつけなくても移動が可能にしてあります。
高齢者が夜中に目を覚ました時に強い照明を浴びると、その後の寝つきが悪くなってしまうことがありますが、ぼんやりと床を照らす足元灯を用いて配慮してあります。 |
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