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根尾川沿いの田園風景に立地する築90年の民家をリフォームしました。子世帯は既に独立しており、高齢者4人の住まいです。主に水廻りのリフォームでしたが、生活動線や使い勝手はこれまでのライフスタイルを受け継ぎ、戸惑わないように配慮しました。又、リフォーム部分と従来のまま使う空間が違和感なく繋がり、日本家屋の味わいを極力残すように細かなディティールを工夫しました。 |
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「お風呂場を直したい」とのご相談をお受けしたのが、このリフォームのきっかけです。現状を見せて頂くと、桧の浴槽は半分朽ちかけている状態でした。浴室内もとても寒いので、ご高齢の方にはちょっと辛いお風呂だと感じました。
又、現在お使いのトイレは、いわゆる昔の外雪隠(離れにあるトイレ)なので、これを室内に取り込みたい、室内の段差を解消したい、キッチンも使い勝手の良いものに変えたい…等々、高齢世帯の生活に直結したリフォームがプランニングのテーマとなりました。
明治時代の建物なのですが土台や柱などに目だった損傷はなく、屋根瓦の葺き替えや外壁のトタン張りなども必要に応じてメンテナンスが施されています。そのため築年数の割には状態が良い建物でした。しかし、現在の基準に照らすと十分な耐震性があるとは言えません。この点をどう対処するかが、お客様にとっても私たちにとっても大きな課題となりました。
全てを改修する費用は捻出できない…かと言って放っておくわけにも行きません。そこで、今回のリフォームの範囲が(2階が乗っていない)平屋部分である事に着目し、以下のような方針を立てました。
・現存する梁や柱などの構造材及び壁は残す。
・リフォーム範囲の壁と床は構造用合板を用いて全面補強する。
リフォーム範囲に寝室、キッチン、居間など生活のほとんどの時間を過ごす空間が含まれているため、この部分に的を絞って補強を施し、シェルターのような位置付けとしました。 |
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まずは現状調査を細部に渡り行います。照明器具もはずして、天井裏の状態を調べます。 |
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約40年使用した桧の風呂桶です。角の部分が腐食していますが、まだお湯はちゃんと溜める事が出来ます。
約40年使ってこの状態ですから木はすごいですね。ある意味、ユニットバスより耐久性に優れているような気がします。 |
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あちこちにある段差を解消するのも重要なテーマです。 |
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住みながらのリフォームなので、工事は二期に分けました。
まずは寝室から取り掛かりますが、左の写真は内装を撤去したところです。 |
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壁面は構造用合板を全面に貼り、補強をしてあります。水平面には鋼製火打(斜材)を取り付けました。 |
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壁面の構造用合板の下端は、土台まで貼り伸ばしてありますが、これは壁面の補強に加え、すきま風も防止するためです。 |
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根太面に断熱材を入れ、28mm厚の構造用合板で床を造ります。 |
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天井には杉板を貼り、壁面は吸湿性や消臭効果のあるチャフウォール(ホタテの貝殻しっくい)を塗って仕上げます。 |
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これで寝室は使えるようになりました。奥の壁は間仕切り壁ですが、この壁の反対側の水廻りは第二期工事となります。
住みながらのリフォームは、このようにエリアを分け、何期かに分けて工事をする事があります。 |
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寝室は、デイケアの行き帰りなどに配慮して、玄関から直接入る事ができるようにしました。昔の日本家屋は土間から床までの高低差が大きな作りが多く、この家も例外ではありませんでした。
その段差を解消するためにイラストのようなステップを提案しました。(四季便りでも詳しくご紹介しています。)
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既設の玄関と調和するように、木組みを活かしたデザインとしました。ホゾ先の出っ張りなどもデザインに組み入れています。 |
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着色には柿渋を用いました。赤、黄、黒などの色土と調合して、現場でサンプルを造ります。 |
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手摺りをつけて完成です。玄関は広い土間になっていますので、来客時には丁度良い腰掛けにもなります。 |
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キッチンは昭和40年代に一度リフォームされています。当時の化粧ベニヤをはがす所から第二期目の工事が始まります。 |
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杉の天井を貼っているところです。今まで隠されていた柱や梁も見えるようにします。 |
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ダイニングキッチンが完成したところです。仕切られていたダイニングとキッチンがひとつの空間になり、エリア分けしつつも動線はストレートになりました。 |
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普段は大人4人での生活ですが、お盆やお正月には娘家族が集まり15人くらいになるそうです。キッチンの作業台も大勢で使えるようになりました。 |
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左官屋さんの手を借りて、壁の一部の色と質感を変えてアクセントにしてみました。 |
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角を丸めると見た目も柔らかな印象になると共に、空間を広く見せる効果もあります。 |
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手造りキッチンの搬入です。作業場で本体を組み立てておき、現場に設置した後にステンレスのワークトップや引き出しを取り付けます。 |
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出窓を横切っている白い台には手元を照らす照明が組み込まれており、シンクの下はゴミ箱が置けるように解放されています。 |
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引き出しの前板には手掛けを一体加工したステンレスのカバーが付き、IHコンロのフロントプレートと調和させてあります。 |
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出窓部分はアールの付いたタイルで曲げこんであり、ここにも角を出さない工夫がしてあります。 |
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風呂桶の搬入です。お客様のたってのご要望で、昔と同じ木のお風呂となりました。浴槽は専門の職人さんに依頼して槇(まき)の木で造ってもらいました。 |
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寒さ対策として、床は木のスノコ敷きとしましたが、スノコをはずして掃除が出来るようにしてあります。 |
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物置に眠っていた明治時代の水屋です。傷や汚れはありましたが、造りは大変良く、しっかりとしたものです。昔の家具職人は機械も電動工具もなしにこれだけのものを造っていたのですね…。古い家のリフォームは驚きや発見が多く、楽しい仕事です。
この水屋を再利用する模様は、四季便り(1、2)でも詳しくご紹介しています。 |
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上段はカウンターを載せてTV台とし、下段はステンレスのワークトップをかぶせてキッチンの作業台としました。 |
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建物の配置上、トイレや洗面所などの水廻りが暗い場所になってしまいます。なので、明かりを採るために屋根の瓦を一部ガラス瓦に替え、天井にアクリル板をはめ込みました。 |
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ガラス瓦により、意外なほど明るい空間になりました。
トイレと洗面所の仕切りも上部を透明なアクリル板としましたので、光を広げると共に、狭くなりがちな空間に広がりを与えています。 |
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勝手口の床下に照明を仕込み、足元灯としました。ステップの踏み台を照らすと共に、立ち位置では直接光を目に入れず、階段が認識しやすいよう配慮してあります。 |
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過去のリフォームでほとんどの木組みは化粧ベニヤで覆い隠されていましたが、明治の職人の手仕事に敬意を払い、出来る限り意匠に取り込ませて頂きました。 |
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ダイニング北側のはき出し窓は、キッチンの出窓に合わせて外側に40cm出しました。この壁厚を利用して、内障子を壁内に引き込む事が出来ます。 |
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この大きな窓からは太陽の光が充分にあたった庭を眺められる他、終日安定した明かりを得る事が出来ます。 |
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栃の木を使ったダイニングテーブルもオリジナルです。
オリジナルのダイニングテーブルを制作する模様は、四季便り(1、2)でも詳しくご紹介しています。
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四季の家工房の家はライフスタイルに考慮した「あなただけの家」です。
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